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2011年08月22日

大乗寺(応挙寺)にて(110819)2/2

大乗寺(応挙寺)は京都から、北西から121キロ、真言宗の寺であるが、円山応挙派の芸術色の強い寺だ。
この前行った、曹洞宗の永平寺は逆に、京都から北東128キロにあり、超厳しい禅寺。
この二つの寺の対比というのがふと面白いなと思った。

さて、大乗寺(応挙寺)の今は収蔵庫に、保存管理されている、応挙派の襖絵(オリジナル)を特別に見せていただくこととなりました。(ありえない、感謝!!!)

一旦外へ出て、少し離れたところにある、収蔵庫へ向かう。

副住職が、分厚い収蔵庫の扉をキーで開けて中に入る。
無論、副住職とほへとら4人のみのプライベートな公開。

中は、温度と湿度が管理された、ひんやりした空間。
光は非常に薄暗い。

中に入って驚いた。てっきり美術館のようなガラス張りの中に保存されていると思いきや、襖絵のあった部屋自体が再現されていた。畳も柱もある。ガラスはなく、直接触れる状態だ。

そして!本物のあの孔雀(の襖絵)だ。
本物は違う、芸術に疎いほへとでもさっきのレプリカとは違う、圧倒的な存在感を感じる。

本当は正面からの自然光が良いのだが、ここは上からだといわれた。
ライトは暗いが、目がなじむに従って松の葉が浮かび上がって見えてくる。

今度は、副住職自ら、丁寧に襖絵の説明。
さらに日本画の説明をしていただいた。


ひと通り見た後に、これまた特別に、畳の上、間近で襖絵を見せて頂きました。
さらに、視点によって、絵が変わるものや、絵、その空間を感じる為に、
寝そべらせてくれたりと、ものすごい贅沢な時間でした。

特に山水の間は、本当に素晴らしく、レプリカには無い、海の広がり、空間の広がりに、本当に驚きました。(レプリカは微妙な地平線を汚れと見なし削除されたらしい)、感じとしてはプラネタリウムで建物の壁などが消失し、全面が景色になったよな感じ。それがわかるように、上座の方へ座らせて頂いた。

日本画を勉強している友禅の佐伯氏も、本では分からなかった細かなところを、食い入るように見ている。

副住職曰く、本来、襖絵は、美術館で、スポットライトを浴びて、じっと鑑賞するものではなく、生活の一部であり、背中や、また五感で感じるものだとおっしゃってました。

光と影、遠近法の洋画に対して、光と闇、濃淡で表される。

それは、3次元を2次元に投影したものではなく、5次元を3次元の空間に投影した感じで、
まさに作品の中に、入り込んでいる感じだ。


襖絵とは、建築の一部であり、建物と共に時間の経過で汚れ、劣化していくもの、だが、
寺や神社が長い時を経ても素晴らしいように、今の住居やマンションのように単に古くなるものではない。

日本人は茶碗の茶渋や、数珠の黒光りなど、長年時間の経過したものを、汚れではなく、価値と見る文化がある。ここに西洋と日本の差があると。
だから、200年経過した今も、劣化したのではなく、完成し続けている。
無論、円山応挙は200年先程度は見越して、襖絵を描いていただろうと。

実際、博物館に保存さてれいたわけではなく、実際に襖絵は開け閉めされ、絵画ではなく、200年、道具として使えていたというのもすごいことと思う。

残念ながらレプリカは、その時間の蓄積を、コピーすること無く、単に汚れとして認識し、200年前のできた当時の真新しさをコピーすることを目指したようだ。

それにしても、副住職の襖絵に対する熱意は相当なもので、
レプリカが、自分の力が及ばず、住職の人選で行われたこと、レプリカの質に関しては、納得いかない感じで、悔しさか、時より酔っぱらいのおっさんのような(笑)、愚痴やイヤミが出ていた。


お礼を言って、収蔵庫を出る。

日本画がけっして、いや全然、洋画に、文化、意識、技術に負けていないことが、これほどはっきり分かったことに、感激を覚えるのであった。日本素晴らしや!


(副住職の)奥さんが、お茶を出してくれた。

以前にオリジナルを何度か見ていて、今回レプリカの後に、収蔵庫のオリジナルをみて、本当に凄さがよくわかりましたと話した。

奥さんも、レプリカに変わった時は、心の切り替えが上手くできず、襖絵の説明が出来なかった時期もあったそうです。説明中時より、泣きそうになったこともあったそうです。

奥さんは、説明時に着物の若旦那と友禅の佐伯氏が、レプリカと本物をちゃんと見分けていたことに気づいていたそうです。
さすが、友禅のインクジェット(コピー)と本物は販売店でも見分けがつかないと云われているが、この人達は一発で見破るスキルももつ。
着物の若旦那曰く、レプリカは見ても、何も感じない。それだけ。

時の流れもあり、応挙派の絵に興味があってくる人ばかりではない、香住のカニのツアーに組み込まれて来る人も多いそうです。
着物の若旦那と友禅の佐伯氏のように、ここまで絵が分かる人は少ないと思う。

ほへとには完全に猫に小判。
そんな違いの分からない人の多い現代は、派手できれいなレプリカでよしとし、
原画の方は、何十年、何百年先に、人間の意識が上がった時まで、価値がわかる時代まで、ひとまず眠ってもらう。応挙もそれで納得ではないか。そんな気もした。

ともかく、レプリカは、今後副住職の世代になった時に、佐伯氏ら若手がもっといいものというか、ちゃんとしたものを、作ってくれたらと、期待したい。

さらに映像や秘仏も用意して頂いていたのだが、時間的に帰ることになった。
もう、みんな腹いっぱい過ぎ。

P1100635.jpg
帰りの大乗寺(応挙寺)

本当に有難うございました。また来ます。

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京都へ帰ってからも、居酒屋で着物の若旦那と佐伯氏と今日の感動冷めない話で盛り上がるのであった。



大乗寺(応挙寺)
大乗寺円山派デジタルミュージアム
5月には特別に、収蔵庫が公開されるそうです。
みなさん、是非一度は大乗寺(応挙寺)に旅行してみてください。
posted by ほへと at 17:19| Comment(3) | TrackBack(0) | 日々の日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先生のブログ今やまそばさんと読ませて頂きました。また香住に来てくださいね。若旦那さん達の作品を見せてください。京都に2人で着物を着て出かけるたいと思います。人との出会いは楽しいですね。  大乗寺にて やまそば、しゅくいん
Posted by やまそば。しゅくいん。 at 2011年08月22日 20:57
おおお・・・!
読みながら涙が出そうになるほどわくわくしました。素敵ですね。降り積もった時間。ただの古さならぬ価値。飾らないほへとさんの言葉に臨場感感じました。できることなら日本画のこと少しでも勉強して、一目見てみたいものです。
Posted by susuki at 2011年08月24日 07:08
やまそば。しゅくいん。さんへ
本当にお世話になりました。ありがとうございます。また迷惑掛けに行きます。

susukiさんへ
是非一度は大乗寺に行っってみてください。収蔵庫公開の5月がおすすめですが、その前にレプリカ見ておくのも良いですよ。
Posted by ほへと at 2011年09月26日 08:42
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